『司会者がアナウンスするときに心がけること』
『司会者がアナウンスするときに心がけること』
昨日、前橋市スポーツ協会80周年記念式典にて、320名もの表彰者のお名前を紹介する大役を務めました。 「長時間、これほど多くの方のお名前を読み上げても、なぜ声が枯れないのですか?」とよくご質問をいただきます。今日は、その裏側にある私の「声の管理」についてお話しします。
長く安定した声を維持する秘訣は、喉への意識を完全に手放すことにあります。 多くの方が喉で声をコントロールしようとしますが、実は、喉は「音の出口」であって、声を出すための「動力源」ではありません。
1. 呼吸と動作を一致させる「リズム」320名ものお名前を読み上げる際、私は名前ごとに「吸う・吐く・留める」という呼吸のリズムを一定に保っています。名前に込める想いを、吐く息にそっと乗せる。この呼吸のサイクルが乱れなければ、喉に無理な負担をかけることはありません。
2. 「身体の深部」で支える発声無理に声を張ろうとすると、どうしても喉や肩に力が入り、声が硬くなってしまいます。私が意識しているのは、喉ではなく、身体のずっと深いところ、おへその下あたりにある「芯」です。ここから空気の圧力を送り出すイメージを持つと、喉はただの通り道となり、驚くほど楽に、クリアな声を響かせ続けることができます。つまり張り切って勢いよく喉に負担をかける司会をしないということです。
3. 言葉の核となる「母音」を美しく響かせる正確な発音とは、子音を強く叩くことではありません。言葉の核である「母音」をいかに美しく、空間に共鳴させるかが鍵です。母音を丁寧に響かせることで、会場の空気と一体になり、一音一音が聞き手の心に深く届くようになります。
これら3つの技術は、いわば「言葉を運ぶための骨格」です。 しかし、その骨格に命を吹き込むのは、やはり「対象者への敬意」という視座に他なりません。「この方の歩みを、この音色で称えたい」という想いがあるからこそ、技術は最大限のパフォーマンスを発揮します。
私たちが言葉を発するとき、喉に力が入っていませんか? 身体の奥から支えられている感覚はありますか? ぜひ、日頃の会話から意識してみてください。言葉の響きが変われば、相手に届く熱量も確実に変わります。

