COLUMN

コラム

『すっ。』

 

あるイベントの本番直前。「奈良さんでも不得意な言葉があるのですか」と、ディレクターの女の子が驚きながら私を見ています。そう、舞台袖で苦手な言葉を何度も練習していたから。

若かりし頃は、プロとしてのプライド?ひと前で練習などしなかった。でも今は惜しげもなくギリギリまで声を出して練習している。

 

すると「一番苦手な言葉は何ですか?」と聞かれ「醸造所」(じょーぞーじょ)と即答。

何度もNGを出した苦い思い出がよみがえります。

 

その日の体調によって、苦手な言葉も変わる。ある日は「こごめのなまがみ」だったり「しょしゃざんのしゃそうじょう」だったり。枚挙にいとまがないのです。

 

今週末はオペラのセリフを読み上げる司会や、急きょ入ってきた司会の仕事が週末を彩ります。

 

舞台に立った時に「お、始まるぞ」と、お客様が“すっと”気持ちが引き締まりワクワクするような佇まい、オーラのようなものをまとって、ステージを盛り上げらえたら司会者冥利に尽きるということ。

 

そんな佇まいを目指しています。一方で心の中では「苦手な音がちゃんと出ますように」と舞台の神様にお願いしてステージに立つ。「すっ。」

 

世界遺産10周年記念の司会の依頼をいただき気持ちがすっと引き締まります。これからもずっと「すっ」とした瞬間を味わえるように。必要とされる人材であるように。苦手な音とも向き合っていかなくちゃね。

 

今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。

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