私はこう見えても(どう見える？)　「飽きっぽい」と、まず公言しておきましょう。好きなことは集中してできるのです。例えば文章を書くのは大好きで時間を忘れ深夜まで書き続けます(今夜もそうです)。教えることも好きでNHK文化センター「心に伝わる話し方教室」は5講座になりました。話すことももちろん好き（アナウンサーですから）で長寿番組の担当が多く、合算すると18年です。
しかし苦手なことに関しては実に飽きっぽい。それがウィークポイントで何度試してもうまくいきません。
ある時、私は“三日坊主です”とある人に打ち明けました。すると「奈良さん、3日も続くことは凄いですね。三日坊主とは修行を積んできるお坊さんですら3日ですから、お坊さんと同様に3日も続くことは凄いことなんですよ」と諭されました。私はこの言葉を聞いた時にとても気持ちが楽になりました。

「これしかできない」から「こんなにできた！」に変換スイッチ
それにしても素晴らしいですよね。「3日しか続かない」のではなく「3日も続いた」と表現するとは。どれだけ悟りの境地を開いているのかと唸らされます。(ちなみにこの方は、お坊さんではございません)。「苦手なことは3日続けばいいのだ」と思うと気楽にチャレンジできます。チャレンジして継続できなかったときの敗北感。それは「なんであなたは3日すらできないの」と自分を責め続けてしまう。しかし同じ3日でも「続いて凄いね」と褒めてあげれば脳は喜びます。もしかしたら「もう少しやってみようかな」なんて思うかもしれません。とにかく、これしかない、しかできないを『撲滅』して、こんなにある、こんなにできた！に変えてみたらどうでしょうか？似た例として良く出てくるのが「コップの水が半分しかないと嘆くか、まだ半分もあると喜ぶか」です。

リフレーミングでポジティブトークができると人生が変わる
「私なんてダメだから」と遠慮がちに表現する方がいますが、謙虚と自信がないは違うと思います。謙虚であれば「私なんてダメだから」でなく「まだまだかもしれませんが、私にチャレンジさせてください」と表現するのではないかなと思います。このように言い方の枠組みを変えることをリフレーミングと言います。言葉の表現も視点を変えてみることをおすすめします。
リフレーミングをゲームのように普段から日常のトークに取り入れるだけであら不思議。魔法のようにいいことが次々と起こるんじゃないでしょうか。「コロナのせいで（仕事が減り）暇になった」を「コロナで時間が空いた。やっと今までできなかったことができる」。「え～私なんかでいいのでしょうか」から「私にぜひやらせてください」に変換！「できるか分からない」から「私にやらせてください」。「人生大変ことばかり」から「エキサイティングな人生」に。以前、聞いたリフレーミングで、なるほどというものがありました。「予定までに資料を提出できない。ルーズだなあ」と部下の愚痴を言うのではなく「慎重でギリギリまで粘るね」と声をかけてみる。部下への声のかけ方もリフレーミングで良い関係が構築できるかもしれません。

「三日坊主様」は始めるなら週の真ん中過ぎから
ところで修行(徳)を積んでいらっしゃるお坊さんのことを”坊主“と呼び捨てにするとは、なんと罰当たりなのでしょう。
これから「三日坊主様」と言いたい。そして私がおススメする「三日坊主様」は、週の真ん中過ぎからが良いかと。何故なら週前半は否が応でも、やらなくてはならないことやテンションを高めて頑張ろうという思いで気持ちが張り詰めています。しかし週の真ん中あたりになると、上手くいかなかったことが起るかもしれません。また、疲れが出始める頃でしょう。するとモチベーションもやや下がり気味になってしまう。そんな時に短期目標の3日で達成感をもたらす「三日坊主様」を発動させるのです。どうでしょうか。3日続けるだけでいいのです。スポーツジムに3日だけ行く。家でスクワットを3日だけする。瞑想を朝3日だけする。溜まっていた書類を3日だけ片づける。料理の手伝いを3日だけする。「〇〇を3日する」も大事ですが、3日だけ休むという「やらない3日」も必要です。身体のためにアルコールを3日だけ休む。大好きな高カロリーなものを3日だけ避けるなど、ついつい体に負担がかかると分かっていても止められないものを3日だけ止めるというのも妙案ではないでしょうか？
今日から三日坊主様を上手く日常生活に取り入れて「継続上手」になってください。きっとそれは短期目標を達成できるという自信につながるはずですから。決して三日しか続かない言い訳ではありませんよ。ということで私は今日から三日間、何をしようかな。まずは夜更かしを三日だけ止めよう！（只今深夜3時23分→三日坊主にかけたわけではありません）

NHK文化センター前橋教室にて「心に伝わる話し方教室」主宰