COLUMN

コラム

ラスクでイノベーションを起こした群馬県高崎市新町の原田・ガトーフェスタハラダ(原田義人社長)が毎月行っているコンサートの司会をお手伝いすることになりました。白亜の宮殿を思わせる建物内にあるエスポワールホールは、ガラス張りで外の風景も楽しめます。この時期は夕方からのコンサートになりますと夕暮れ時から、星が輝く姿まで見られるという贅沢な空間。音楽も様々なジャンルで一流アーティストが毎月お見えになるので、固定ファンが多いのです。
またチケット代は全て地元高崎市の文化振興に寄付をされています。そのような実績から文化や芸術を支援する企業や団体の優れた取り組みを顕彰する「メセナアワード2020」において「未来の音楽文化のための芸術文化支援活動」で優秀賞を受賞しました。群馬県の企業の受賞は初めてということで地域貢献を積極的に行っている企業でもあります。

メセナ活動でもイノベーション
コンサートは新型コロナの影響で一時お休みしていましたが、今年から再開し7月で103回となります。矢野沙織トリオによるジャズコンサートで会場の皆様も熱気と元気に溢れていました。アーティストの皆様にとりましては、演奏活動が難しい時期が続きますが、こうやってコンサートを開催できることで励みになることもあるのではないかなって毎回感じます。
そんな場所を提供してくれる心意気にも感銘を受けるのです。
ラスクでもイノベーションを起こしたガトーフェスタハラダさんですが、メセナ活動でも実はイノベーションを起こしていらっしゃるのです。つくづく素晴らしいなって思わずにはいられません。

こんな時期こそ生の演奏
コンサートには私も個人的にお邪魔していました。特に新型コロナの影響で生演奏が楽しめない時期が続いたころ、むしろ生演奏が聴きたくなり、ガトーフェスタハラダのコンサート再開を心待ちにしていました。
コロナ対策を万全にされ、完璧なオペレーションでお客様をお迎えする姿勢に感銘を受けたことと、なんといってもこの時期でも「やれるところまで、やってみる」という企業精神、お客様へのサービスに心打たれるものもありコンサートの魅力は増すばかりです。

プランはAだけでなく
そしてこのたび司会をさせていただくことになり、以前から何度も来ているホールと言うこととスタッフさんの配慮でとても楽しく司会をさせていただきました。
そんな配慮は台本まで施され・・。実は台本のひと枠に「奈良さんアナウンス」という余白の項目があるのです!私がアドリブで一言「奈良のりえらしい」コメントを入れていいですよ。という心配りがにくい!そこで季節の挨拶を入れさせてもらいました。
梅雨明けはしていないけれど、今日発表になったら「梅雨明け前」と言ったら間違いになる。こういう微妙な時期は敢えて入れないでおこう。朝から真夏のような暑さだから、夏の到来をイメージさせるコメントにしようと考えた文章を用意しました。
しかし、コンサート直前にこのプランAはあっけなくかき消されました。なぜなら、夕方になり小雨がパラパラ・・と降り始め、その後横殴りの雨になってしまった。私が用意したコメントでは、空気感が違いすぎて「とってつけたようなコメント」になってしまう。これではせっかくコンサート担当者さんが配慮してくれた余白部分の私のコメントが、台無しになってしまうのではないか。そしてプランBを考えました。

プランBでもなく
プランBは雨の降り出しの時間帯に考えました。夏の訪れと梅雨時が混在するコメントにしようと作り直しまして、これで大丈夫と安心した矢先、大雨になってしまった。この大雨がずっと続くわけでもないけれど開演時間も雨の状況が変わらなければ、雨にも触れなくては・・。次はプランCです。ただ「雨でお足元の悪い中」という表現は一日中雨が降っているときですし、恐らくすぐに止むから、その時には変える必要もあるだろうと思いつつプランCは「お天気のいたずら」という表現で表情が変わっていく空の様子を入れようと思いつきました。なかなかいい文章にまとまった!と完成した間際。そうです。雨がやみました(笑)
開演直前のことでした。そこでプランDで今まで考えたものをコンパクトにまとめて、アナウンスしたわけです。

プランAのみの『ミランダ』に憧れるも
会場がガラス張りで見ようと思えば外の風景が見える。雨の中、傘をさして来てくださったお客様もいらっしゃるからこそ、どのようなアナウンスが一番適しているかを最後までじっくり考えることができました。
このような「脳の筋肉を鍛える」お仕事が大好きでたまりません。主催者様の主旨に寄り添い、お客様と主催者との懸け橋になる。なおかつ少しだけ自分らしいアナウンスを入れてみる。そんな素敵なお仕事に出会えたことが嬉しくて、忘れられない1日になりました。
10秒ほどのコメントのお話ですが面白いドラマとドキュメンタリーかなって。
そうそう、大好きな映画『プラダを着た悪魔』では、ミランダという剛腕編集長が言ったことは「プランAのみ」で変更は許されず部下が振り回されています。そんなミランダをかっこいいと思いながらも、私は「プランAからプランDまで変身」できるカメレオン的な生き方で司会業を楽しんでいます。
今日も最後までありがとうございました。仕事ではプランが変わっても楽しめるのですが、プライベートはなかなかね。プラン通りにならなくてもそれが常と言えるような大人な人間に成長していきたいと思う今日この頃です。

ラスクと私

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