COLUMN

コラム


面接研修の準備をしています。そこで新人アナウンサー時代のことを思いだしました。
新人アナウンサーとして初めてマイクの前に立った日、私は「ちゃんと話さなきゃ」「間違えちゃいけない」と頭の中がいっぱいでした。原稿は覚えたはずなのに、いざ本番になると、声が上ずり、テンポが早まり、間がなくなっていく。気づけば、聞き手の顔が遠くに感じられ、言葉が独り歩きしていました。
焦りは、声の奥ににじみます。
それは、聞き手にも伝わってしまうものです。
当時の私は、「すらすら話すこと」がプロの証だと思っていました。でも、先輩アナウンサーに言われた一言が、私の考えを変えてくれました。
「話す前に、まず“届けたい気持ち”を思い出してごらん。声はそこから生まれるから。」
それから私は、話す前に深呼吸をし、「この言葉、誰に届けたいんだろう」と心の中で問いかけるようになりました。すると、声が落ち着き、テンポが整い、間に余白が生まれました。焦りは消えませんでしたが、焦りに飲まれずに“整える力”が育っていったのです。
そこで、 改善策として焦りを整える3つの習慣(アナウンサーが考える)
– 深呼吸して、自分の名前をやさしく声に出す
→ 声のトーンとテンポが自然に整います。
– 話す前に“届けたい相手”を思い浮かべる
→ 感情が乗り、焦りが“伝えたい気持ち”に変わります。
– 沈黙を怖がらず、“整える間”として味方につける
→ 間があることで、言葉に余白と信頼が生まれます。
日常への活かし方(アナウンサーが考える)
焦りは、面接やプレゼンだけでなく、日常の会話にも顔を出します。
たとえば、初対面の人との会話、緊張する場面での自己紹介、感情が揺れるときの言葉選び。そんなときこそ、アナウンサーの技術が生きてきます。
– 「すらすら話す」より、「心を整えて話す」
– 「間違えないこと」より、「伝えたい気持ちを忘れないこと」
焦りは、誰にでも訪れます。
でも、それを整える習慣があれば、言葉は必ず“届く声”になります。
みなさまの明日からの日常会話のアップデートになれば嬉しいです。
※奈良のりえオンラインサロンでは言葉に対する悩みの解決方法をコラムなどを通じて発信しています。
写真はオンラインサロンの動画撮影の様子

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