仲間から教えてもらったこと
早稲田大学ビジネスファイナンス研究センターエグゼクティブMBA Essenceのプログラムが修了しました。1年で視野が広がり価値観さえも変化したのは学びとともに仲間の存在でしょう。大手企業から選抜された幹部候補生や経営者、事業承継者など様々なメンバーでした。「ついていけるかな」という気持ちより「仲間から学ばせてもらおう」と思っていましたから初日の顔合わせでは「皆さんが私の先生です」と話したことを思い出します。修了式までに自分はどのように変化するのだろうと自分観察をしてきました。
毎回のミッションでは同プログラムのコーディネーター長谷川博和先生と課題の本を読み、気になったところを共有して意見を出し合います。自分では手に取らないような一冊もあったりして、それがまた面白い。その他にも講義用の参考図書もあるので仕事をしながらの両立は結構タイトではありましたが、追い詰められている感じが好きでした。付箋をバッグに入れて気になる本の箇所をペタペタと張り付けていく。仲間はどんな箇所を選ぶのかなあ。などと思ったりしながら。本との向き合い方も変わる読書会でした。もともと本を読むことが好きでしたが、好きな本しか読まないから知識が偏りがち。そんなウィークポイントを克服することも多少できたかな。視野が広がりました。
講義は毎回多彩な講師陣が新しい研究成果をもとに様々な事例を挙げて指導してくださいます。両手にいっぱいでこぼれ落ちるほどの内容でしたからもう一度振り返る時間が必要なほどです。これまで日常に追われていた自分にとって「復習」はなく「前進あるのみ」でしたが、学びっぱなしはもうやめよう。学びなおそう、学び続けることこそ大事だと行動変容をもたらしてくれました。
さて、仲間とは講義が修了すると「補講」と題し毎回食事をして別れるというルーティンがありまして、確かに講義は振り返りますがどちらかというとコミュニケーションを育む時間でした。それはどこかで一生の中で1年しか一緒に過ごせないというゴールが分かっていたから。まるで別れの日が決まっている恋人同士が会話を交わすような・・というとかっこよすぎるけれどそれほど尊い時間でした。
木曜日の夜は眠い目をこすりながらオンライン講義。ギリギリまで仕事をしてから参加しますので22時近くになると限界に近い。それでも先生の講義や仲間の意見を聞き洩らさないように必死でした。コロナの関係でリアル講義とオンライン講義でしたが、群馬から通うにはちょうど良かったかもしれません。念願の学び直しができました。
参加したからこそ見えた風景がありました。私にとってかけがえのない仲間ができたことです。そんな仲間に救われることも多い。ある日のことでした。心にとげが刺さるような出来事が起きたとき、ふと仲間数名にメッセンジャーで投げかけました。「落ち込んでいます」とストレートな言葉で。すると一人の仲間からはある本のあるフレーズを紹介してくれて、自身が悩んでいるときの乗り越え方を話してくれました。変化が怖いという私に「変化大好物」と言ってくれた仲間がいました。人に話して解決する派と自分で解決派で分かれているなど会話は自由に行き交います。私は結局悩みの内容は伝えませんでした。でも私が元気になるまでずっとやりとりをして付き合ってくれた。〇〇で悩んでいます。なんて告白しなくても悩みは解決するんだなあ。不思議な体験でした。
話は飛びますが「卒業」と「終わり」はニュアンスこそ似ていますが全く違うものです。私の中では「卒業」は、「終わり」というパキッと竹を割ったような関係にしたくないときに使います。進むべきところに行くための儀式のようです。でも卒業という言葉では片づけられないほど卒業したくないことが突然訪れることもあります。お仕事では特に。
私は過去に何度もそのような卒業を経験してきました。形では卒業していても納得できない心残りもありました。だから使うけれど卒業という言葉はあまり好きじゃない。でもそんな私を救ってくれたある出来事が起きました。
早稲田大学ビジネススクールのMBA現役生たちが私の地元に来るという企画があったんです。当然会ったことはありません。しかしお世話になっている教授は一緒です。そんな縁もあって現役生たちの食事会の企画をお手伝いすることになりました。司会を担当したので最初の挨拶で「先日、EMBAを卒業しました、あ、修了しました」と自己紹介(学び続けるから、あえて修了と表現)。すると驚くべきことに、初対面でありながら歓声に近い拍手が湧いたんです。この拍手は紛れもなく仲間へのねぎらいの拍手です。はっきりいって驚きました。「仲間ですよ」という意味でEMBAを修了したことを伝えたに過ぎない一言でしたが「congratulation!」と言ってもらえた気分です。私はこの温かい力強い拍手で背中を押してもらえました。そして「卒業」が受け入れられたのだと思います。その瞬間に、この間隔さえ忘れなければ、突如訪れた避けきれない卒業も笑顔で受け入れられると感じたのです。寂しいけれど新たなことにチャレンジするチャンスがきた。これが卒業なんだなと。そして仲間が祝ってくれるものなのだなと。まさかこんなに大事な気づきを年下で初めて会った仲間から教えてもらうとは!
いくつになっても仲間は大切ですね。そして生きている限り一期一会で出会った仲間を大切にしていきたいと思った、ある日の出来事でした。今日も仲間が喜んでくるようなことができたら嬉しいな。そんなお節介な私でありたいと思います。仲間に助けられてEMBAを修了できた私からの御恩送りです。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。