涙と汗のステージから教わったこと
3年ぶりの開催に「ありがとう」のメッセージ
3年ぶりに開催された伊香保ハワイアンフェスティバル。全国から約1700人のフラダンサーが集まりました。主催者の皆さんは色々なご判断をされて決断をされたことでしょう。私もずいぶん長く司会のメンバーとして関わらせてもらっていただけにようやく少しずつ何かが動き出したと胸をなでおろすとともに、社会状況を鑑みて「アロハ~」とお客様に声をかけることは中止したり、演者さんにインタビューを控えたり、マスクは任意と言ってもらったけれど、皆さんに迷惑をおかけしたくないという気持ちからマスクを着用しての司会など、新たな試みもたくさんありました。
プロとの仕事は即興演奏
久々に会えた舞台周りのお仲間たち。ステマネ(ステージマネージャー)、音響さん、照明さん、演者を誘導する若手スタッフさんなど、ここでしか会わないけれど皆さんめちゃくちゃ職人気質で、それぞれの仕事がパーフェクトなんだなあ。とにかく気持ちのいいメンバーです。即興演奏というのがありますが、まさに現場は即興演奏なのです。
涙と汗のステージ
司会者は1日多い日で約100組のハラウ(グループ)を時間通りに進行しなければなりません。また演者さんたちがどのような思いでステージに立つのかなど、短い時間で紹介することも大切な仕事です。
毎回演者さんにお願いしているアンケートに、曲の紹介やグループのPRなどを書いてもらって、ステージの準備が整うまでの時間に読み上げています。そんな中、今年特に多かったのが「コロナ渦にも関わらず、開催してくれてありがとうございます」というメッセージでした。何度もその言葉を見るうちにステージ裏で思わずこみあげてくるものがありました。「こちらこそありがとうございます」なんです。マスクをしていて汗がだくだくの顔でしたが、マスクが涙を隠してくれた。今年の伊香保ハワイアンフェスティバルは涙と汗のステージでした。
価値観が変わったら生き方も変わった
若い頃は「仕事は自分の実力でやってくる」とばかりに意気込んで鼻息荒く猪突猛進でした。しかし2020年の緊急事態宣言で私の仕事への価値観も変わりました。仕事の依頼は個人の実力というより、クライアントさんが与えてくれたチャンスなのではと気づかされたのです。「奈良さん、フリーランスになって頑張っているからお願いしよう」と主催者さんが与えてくれたチャンスなんです。
NHKの名物ディレクター荻野さん
伊香保ハワイアンフェスティバルも伊香保温泉観光協会の伊藤さんが、当時NHKのディレクターをされていた荻野さんという方に「誰か良い司会者いない?」と訊ねたところ荻野さんが「奈良さんがいるじゃない」と言ってくださり、ご縁が始まりました。荻野さんにはNHKでキャスターをしていた頃、ご指導いただいたことを今でも覚えています。
ある日こんなことがありました。「奈良さん、この仕事引き受けてくれる?」と言われたので「私でいいのですか?」と謙遜半分、嬉しさ半分答えると「そんな言い方していたら、やっていけないよ。私にやらせてくださいと言えないといけないね」と諭されました。業界の厳しさを教えてもらった瞬間です。一方でとても愛情のある人で、私の司会を聞いて「普通2時間もしゃべっていれば、え~とか、あの~と口癖が出るけど、あなた全然言わないね。なかなか偉いよ」と褒めてもらった。そんなNHKでの名物ディレクター荻野さんももういらっしゃらないけれど、私は今でも覚えています。そして「荻野さん、今でもお仕事続けさせてもらっています」と手を合わせて報告したい。
後輩たちの伊香保ハワイアンフェスティバルMCデビュー
さて、多くの人に育ててもらった私としては、若い人へのチャンスを広げる意味でも「御恩送り」で色々なことをお願いしています。と言いつつ、実は助けてもらっています。今回の伊香保ハワイアンフェスティバルは、まさに今までのネットワークを活用させていただき、司会者5人に関わっていただくことになりました。社会起業家、ラジオパーソナリティー、大学生、ナレーター、アコーディオン奏者と職種や立場はさまざま。
ちなみに、ハワイアンの衣装は急だったので調達が難しく、私がコツコツとご褒美とばかりに購入してきたドレスを着てもらうことにしました。ドレスも喜んでいるよう。
ハワイアンの衣装に身を包まれステージに立つと、皆さん輝いていてキラキラ眩しいほど。なおかつ順応性があって笑顔いっぱいにマイクを片手に話している。フラの司会はカタカナが多く、読みなれないと難しいのですが、何度もステージ横で練習している様子を見ました。午後の暑さがピークを迎えた時も、本当は大変であろうに笑顔でマイクを握り続けた。そんなひたむきな姿を見て感謝しかありません。
先輩に育てられ、後輩に助けられ
先輩に育てられ、後輩に助けられ今の私がいる。きっとこれからもそうなんだろうな。私をこれからも成長させてくれるのは、色々なことにチャレンジさせてくれる人生の先輩たち。また困ったときに(特にIT関係)助けてくれるのは可愛い後輩たち。私の強みはこの仲間なのだと改めて感じます。
伝える、書く、教えると、プロボノを頑張る
伊香保ハワイアンフェスティバルが最終日を迎えます。これからもアナウンサーとして伝える、ライターとして書く、講師として教える。この3つを柱にずっと仕事に関わっていきたい。(伊香保ハワイアンフェスティバルの司会の日も講師の仕事とライターの仕事もトリプルワークで行っていました)
そして群馬イノベーションスクールなどアントレプレナー支援のプロボノ、広くあまねく学びの場を提供する新たなプラットフォームのプロボノと、社会貢献も同時進行で携わっていきたい。そんな欲張りな私です。今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。